『湯桶ひとつも』

我が家のお風呂は平凡でシンプルなユニットバス。
少し情趣を加えたいと木製の湯桶を使っていました。
ところが、年末に桶の底が抜けてしまいました。
浴槽のお湯をかき混ぜる時にしか使わないので
なくてもいいような気もしますが、やはり不便。
急いで近くの店でプラスチック製を買いました。
しかし何か手に馴染まず、浴室が味気なく感じます。
家族からも「なんでプラスチックになったの?」
と不満の声が上がり、改めて木製桶を買い直しました。
黒ずんだり、底が抜けたり、何かと手は掛かりますが
一日を締め括るひとときは、やはり温かい手触りの
木製に限る と、間に合わせの買い物を反省しました。

坂井

『信楽の狸』

「信楽の狸を見に行こう!」
子供を連れて、日本六古窯のひとつ
滋賀県の信楽を訪れました。
 
滋賀県で古くから商売をされているお家には
商売繁盛の縁起物として、たいてい
信楽焼の「狸(他抜き)」が飾られていました。
災難から身を守る笠や信用を意味する通い帳など
その姿形には八つの意味があり、これを
「八相縁起(八相縁喜)」と言うそうです。
 
「お母さん、信楽の狸って、もしかしてあれ…?」
生きた狸に会えると思っていた、と涙目の娘。
しばらくご機嫌斜めでしたが
土の味・質感あふれる素敵な器の山を前にして
自分用を選び始めたら、元気になりました。

向井