『雨楽幻想』

雨楽な家=雨も楽しい家。
現実はジメジメで歓迎しないけど
「雨」と「家」が並列するだけで字間
からジメジメ感が消滅していくのだ。
軒下のやわらかい草の上で雨が足踏み。
そんな幼少期の記憶が忽然と脳裏に蘇る。
ピチピチ・チャプチャプ・ランランラン。
そんな童謡はふと僕に切ない影を落とす。
僕は窓をあけ雨にけむる街並みを視る。
雨が介在する景色は水分のフィルターを
通していつもの風景と違う。今にも
曖昧な雨は実態を獲得し町は雨の
向こう側へと後退していく。
なんとも、雨の不思議。

太田