『忠良さんの「木」』

辛く悲しい記事が絶えない新聞の片隅に、彫刻家
佐藤忠良さん(98歳)の訃報を見つけました。
親しみやすい作品と人柄で知られる具象彫刻の第一人者
ですが「おおきかぶ」などの絵本も手がけています。
88歳の頃の作品に「木」という絵本があります。
ごつごつとした太い幹、しっかりと大地を捉える根、
曲がりくねって空へと伸びる枝、ごつごつのこぶ等が
鉛筆で表情豊かに生き生きと描かれています。
シンプルで地味な作品ですが、作者の暖かいまなざし
と自然を敬う心がしっかりと伝わって来ます。
長年の風雪を耐えしのんだ木の生命力に
励まされ、力づけられるおすすめの1冊です。

坂井


福音館書店 「木」より